100年インタビュー 免疫学者・多田富雄「寛容」のメッセージ

先日、ふとテレビでNHKをつけると
惹かれる番組がありました。

なんとなく観ているとどんどん惹きこまれて
最後まで観てしまいました。

NHK100年インタビューという番組で
今年4月に亡くなった 多田富雄という免疫学者
やゆかりの方々のインタビューで構成されていました。

私は多田富雄さんという方を今回初めて知りましたが
そのメッセージに衝撃と感動を覚えました。

昔の免疫学では異物が入ってきた場合、「排除」する反応が
免疫反応とされていたのですが、必ずしも「排除」しないで
時には共生することもあると指摘し、それを「寛容」という言葉で
表現されています。

この「寛容」から、生物が『排除せず共生を選ぶことがある』
という資質を持っていて、人間社会も、
『異なったものを排除するだけでなく、時に受け容れて共生すること』
を選択すれば、『生き残りの可能性が高まる』かもしれないことを、
示唆している。ということが分かりました。
 
梅爺閑話 から言葉をお借りしました。ご自分で消化してとても上手くまとめられていました。)

多田さんは、9年前に脳梗塞で倒れ右半身の自由と言葉を失って
からも左手でキーボードを打ちながら多くの著書を残しています。

「言魂」という共著がある、現在パーキンソン病を
患いながら 多田さんの「寛容」について話された
石牟礼道子さんのインタビューの中で、
水俣病患者からの言葉なども
出てきてとても印象深かったことがありました。

その中に「もだえ神さん」というのがあって
水俣病患者を前に何もできず ただ一緒に苦しみ
立ちすくんでいるだけの人の事を
そのように表現するのです。
(何もできないけれど、一緒に苦しむ人を神とする文化に
感動しました。)
この話を聞いていて 涙が止まらなかったです。

今回の震災でこの「もだえ神さん」になっていた人が
どれだけ、いたんだろうと。
ただ苦しみを感じて一緒に悲しむだけで
何もできないと また苦しんでいた人が。

この言葉を知っていたら そんな人達も少し癒されたことだと思いました。
(そんな人達って自分もなんですが・・・)

水俣病患者の方の言葉で
「チッソを許すことにした」
「憎むということは、自分が苦しむこと」
「許すことにしたら楽になった」
という「許す」事も「寛容」につながります。

「寛容」ということからそのようなお話をされたのですが
多田さんは「寛容」とは再生する基盤。
ともおっしゃっていたそうです。

6月に最初の放送があったようなので
私が観たのは再々々放送くらいでしょうか?
録画しておけばよかった~。
もう一回観たいです!

多田さんの著書もこれから読んでみたいです。
石牟礼さんの著書すらまだ読んだことがない・・・。

読まなくては!!

それと、今回この放送の中でいくつかこの頃の自分の
符号がありました。

・「アニミズム」 何度となく会話に出てきたり、自分の中で考えたり・・・

・また、あるブログからこの放送について書かれているものから・・・・

「寛容」ということから古代ローマ帝国のカエサルの政治信条
「クレメンティア(寛容性)」
征服した民族の文化、慣習、宗教を認める事。結果として
敵を同胞とし取り込み、ローマ帝国の支配領域を広げて行きました。
これは当時の常識であった「勝った者は何をやっても許される」
という考え方と真逆をなすものです。・・・・・・・

というのがありました。

ついこの間読み終えた「ラウィーニア」という ル・グウィンの
著書からもこのような思いが伝わってきたばかりでした。



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